2012年 05月 03日
ペペロンチーノを作ろう
パスタを自分で作るようになったのは「おいしいペペロンチーノをお腹いっぱい食べたい」という欲望からでした。
いろんなお店でペペロンチーノを食べ、本やネット上のレシピをかき集め(そしてどれも書いていることが違う)、
試行錯誤することもう10年以上は経つのではないのでしょうか?
ようやくここ最近、やっと「これが自分のペペロンチーノ」といえるレベルになってきました。
そこで、自分への備忘録も兼ねてペペロンチーノの作り方をご紹介します。
どうせなら目標は高く、日本一くわしいペペロンチーノのレシピを目指しましょう。

まずは「ペペロンチーノ」とはなんぞや、から。
正式名称は「アーリオ・オリオ・ペペロンチーノ (aglio olio e peperoncino)」。
アーリオ=ニンニク、オリオ=オリーブオイル、ペペロンチーノ=唐辛子のみを使ったシンプルなパスタ。
本来はパスタ全般で用いられる調理方法ですが、ここではロングパスタを用いたスパゲッティ・アーリオ・オリオ・
ペペロンチーノに話題を限定します。

ペペロンチーノの作り方を覚えておくと、オイル系のパスタはほぼこれの応用で作ることができます。
アサリを入れればボンゴレビアンコに、キャベツやバジル、アンチョビを入れてもおいしい。
パスタ料理のキホンのキと言っても過言ではないでしょう。

さっそく作ってみましょう。
まずは材料から。
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(スパゲッティ・アーリオ・オリオ・ペペロンチーノ 2人分)

・スパゲティ 200g
 家庭で作るパスタの1人前は100gと覚えておくと間違いないです。他の料理もあって少なめなら80gに、男性で
 お腹ペコペコなら150gは食べられると思います。

 手に入れやすくおすすめなパスタはバリラ スパゲッティNo.5 1.7mm。もう一つ手に入れやすいブランドとしては
 ディチェコがありますが、ディチェコとバリラではスパゲッティを絞り出す「ダイス」の素材が異なります。
 バリラはテフロンダイス、ディチェコはブロンズダイスを使っていて、大雑把に言うとバリラがツルッとした表面仕上げ、
 ディチェコはザラッとした仕上げになっています。
 ソースとの馴染みはディチェコの方がいい(特にクリーム系にオススメ)のですが、ツルンとした感触とのどごしは
 僕はバリラの方が好き。ペペロンチーノの場合オイルとの相性重視でバリラをオススメします。

・にんにく 4-5片(大きさによる)
 結局のところペペロンチーノの味はにんにくの量で決まります、と言ってしまうと身も蓋もないのですが...
 少ないかなと思うよりは多いかなと思う量、そして国産のにんにくを使いましょう。味も香りも中国産とはかなり異なります。

・とうがらし(鷹の爪) 2-3本
 半分に折り、中の種は出しておきます。辛さの加減はとうがらしの量より火を通す時間で調整します。

・オリーブオイル 50ml(大さじ3強)
 ペペロンチーノはオリーブオイルの味がダイレクトに感じられます。あまり高級品を使う必要はありませんが、
 新鮮な(←重要)エクストラバージンオリーブオイルを使いましょう。オリーブオイルは酸化が早い(劣化しやすい)ので
 できるだけ早く使い切ってしまうのがキモです。
 
・塩
 にんにく、唐辛子、オリーブオイルときて、ペペロンチーノの残りの味は塩分です... が、ペペロンチーノでは塩で
 直接味をつけることはしません。パスタの茹で汁に入れる塩で味を決めます。ここ重要なポイントです。
 塩の量はあえて書きません。理由はのちほど... 
 塩の種類はミネラル成分の多い海水からできている塩がオススメです。

では調理開始。
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【1】にんにくは縦に半分に切り、こげやすくてエグ味の原因になる芯の部分をつまようじなどで取り出し、包丁の腹で潰します。
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【2】冷たいフライパンにオリーブオイルとにんにくを入れます。このままパスタを茹で始めるまで火をつけず放置します。

【3】パスタを茹でるお湯を沸かします。
お湯の量はできるだけ多く、大きな鍋で沸かすように。可能であれば浄水を使います。
そして沸騰したお湯に塩を入れますが、ここがペペロンチーノの味を決める第一のポイント。先ほども書きましたが、
茹で汁の塩加減でペペロンチーノの味が半分決まる、と思ってください。
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あえて上で塩の量を書かなかったのは、塩の種類、茹で汁の量で塩分のバランスが大きく異なるから。
ここからは舌が頼り、めざす茹で汁の塩味は

「すまし汁以上海水未満」

です。思っているよりしょっぱいです、塩もたくさん必要です。塩を入れてはよくかき回し、何度も味見してください。
繰り返しますが、ここでペペロンチーノの味の半分が決まります(シツコイ)。
薄い茹で汁でパスタを茹でてしまうとあとから挽回はできませんので、少し濃いめの意識で塩分を決めてください。
(あくまで参考までに、よくいわれているパスタの茹で汁の塩分濃度は1-2%です。お湯2lに対して20-40g。結構な量です)

ちなみにパスタの茹で汁に塩を入れる理由はほとんど味付けのため、そしてソースとの馴染みをよくするため。
ペペロンチーノの場合はあとから味付けをしないためちょっと濃いめの塩分ですが、他のパスタ料理でも塩味はこの段階で
つけてしまいます。そしてソースの塩味は少なめで。これを覚えておくとトマト系もクリーム系も味がしまるようになります。

また塩味の効いた茹で汁はパスタソースの味付けそのものにも使います(ペペロンチーノでも使います。後述)。
小麦の味でソースの味が深まり、また水分によってソースの濃度調整にもなります。このようにパスタの茹で汁って
とっても大切なんです。

パスタは投入後くっつき防止に軽くかき混ぜます。火加減はぼこぼこしすぎない弱い沸騰状態を保って。あまり
かき混ぜすぎたり沸騰させすぎたりするとパスタの表面が痛んでしまいます。キッチンタイマーがあればパッケージの
表記時間-1.5分でスタート。
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【4】パスタを茹で始めたらフライパンに点火します。
(注:作り慣れてくるとこのタイミングでパスタの茹で上がりとソースの完成が合うのですが、最初のうちはパスタを
茹で始める前にソース作りを始めた方が失敗が少ないです)
フライパンを傾け、オリーブオイルの中でにんにくを揚げる要領で火を入れていきます。最初は中弱火で、泡が
出始めたらすぐにごく弱火で、くれぐれも焦がしすぎないよう、こまめにひっくり返してください。
よくレシピでは「きつね色になるまで」と書かれていますが、そこまで行くと焦げ臭さが出てしまいます。ほんのり茶色く
なった程度で火を止めます。
唐辛子はにんにくが色づく手前(弱火にしてから)に投入しますが、辛めが好きな方はもう少し早いタイミングでもいいでしょう。

【5】そしてペペロンチーノ作り第二のポイント。オリーブオイルと茹で汁の「乳化」
にんにくが色づき唐辛子を入れたあとにフライパンの火を消します。弱火だったのでそんなにフライパンは熱くなって
いないはず。傾けていたフライパンをゆっくり水平に戻し、フライパンの手前半分にオリーブオイルが広がった状態にします。
そしてフライパンの奥から、塩分とパスタ成分の溶け出したパスタの茹で汁をオリーブオイルよりちょっと多め
(目安としては80ml=お玉1杯半)加え、すぐにフライパンを揺すります。
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すると余熱でふつふつとオイルと茹で汁が混ざりトロッと白濁してきます。これがパスタの小麦粉を媒介としたオイルと
水分の「乳化」、ペペロンチーノのソースの正体です。
もし温度が低すぎるようだったら一度点火して温度を上げながらフライパンを揺すり、トロッとした段階で火を消します。
この乳化作業がうまくいかないと、やたら油っぽいべたべたしたペペロンチーノができてしまいます。ペペロンチーノ作りで
一番テクニックが必要なパート。がんばってクリアしましょう。

【6】手際よくできていれば、フライパンに点火しておそらくここまで約5-6分、パスタの茹で上がりまであと1-2分
残っているはずです。
目指すパスタの硬さはアルデンテちょい手前、わずかに芯が残った状態。直接パスタを味見しながら硬さを見極めてください。

ここだ!のタイミングで火を消しパスタを上げます。
ここで一つ注意ポイント、鍋からザルなどにパスタをザーッと上げるのは避けましょう。せっかくソースと絡みやすく
なっているパスタの表面を流れるお湯でツルツルにしてしまい、ソースと絡みにくくなります。またザルなどにあげて
しばらく放置なんてのは論外です。冷めたパスタはぜんぜんソースに絡まなくなります。
アツアツのパスタを温めたソースに投入する、パスタ全般のコツ。
僕はパスタの鍋からトングで掴んで直接フライパンに移すようにしています。少し茹で汁が足される効果も狙っています。
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【7】パスタを投入する直前にフライパンを弱火で点火しソースを温めます。ソースが軽くフツフツした状態の中にパスタを入れ、
数回フライパンをあおります。あおりすぎるとソースがパスタの中に入り過ぎるので注意。
そしてすぐに火を止めます。炒める必要はまったくありません、あくまでも軽く和えるだけ。ソースの量が少ないかなと
思ったら茹で汁を少し足し、再度和えます。仕上げに少量のオリーブオイル(大さじ半分程度)を振りかけると艶と香りがでます。
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これでペペロンチーノの完成です。
ペペロンチーノっておいしそうに撮るのも難しいんだよなぁ...

「シンプルなものほど奥が深い」、ペペロンチーノほどこの言葉が似合う料理もないでしょう。
どれだけくわしくレシピを書いてそのとおり実践しても、毎回微妙に味が変化してしまいます。
継続は力なり、ただただ修行あるのみ。

最後にポイントをまとめておきます。

・にんにくは国産のものをたっぷり使う
・茹で汁の塩味は「すまし汁以上海水未満」、ここで塩味が決まる
・オリーブオイルと茹で汁の「乳化」がソースのキモ

ぜひみなさんもおいしいペペロンチーノを作ってください。
そしてうまくできたら教えてくださいね。

by alfa_driver1972 | 2012-05-03 22:09 | 一食入魂 | Comments(8)
Commented by たけだ at 2012-05-03 23:28 x
大変参考になりました。うちでも作りますが、ニンニク、唐辛子、オリーブオイルとも3倍の量です。ニンニクの切り方から麺茹でに至るまで、ここまで丁寧に考えたことはありませんでした。やはり単純なものほど、奥が深いのですね。
Commented by sa55z at 2012-05-04 03:18
感動しました、この作り方。
このGWに作ってみます。
Commented by alfa_driver1972 at 2012-05-04 19:00
>たけださん
僕も最初はオリーブオイルをこの倍近く使っていました。
茹で汁との乳化を覚えてからは少なくてもジューシーにできるようになりましたよ。
にんにくの切り方もスライス、みじん切り、それのミックスなどなど、いろいろためしましたねえ...
潰しに落ち着いたのはにんにくが苦手なかみさん対策(避けやすい)もあったりします。

ほんと、ペペロンチーノは奥深い料理だと思います、はい。

HIDE
Commented by alfa_driver1972 at 2012-05-04 19:01
>sa55zさん
ありがとうございます。そう言っていただけるとうれしいです。
長文書いたかいがありました(笑)。

おいしくできたらまた教えてくださいね。

HIDE
Commented by blackqualis at 2012-05-13 19:47
今まで適当な思い込みで間違いだらけのペペロン作りをしていたと知りました(笑)
今日のランチは母の日だったので自分がHIDEさんレシピで作ってみましたよ(^o^)
お陰様で本格的(当社比)なのが出来て評判もよかったです!
Commented by alfa_driver1972 at 2012-05-13 19:53
>かちょ
おー、すごい! このレシピで作っていただけましたか。
ペペロンチーノは場数です、作れば作るだけおいしくなりますよ。
また作ってみてくださいね。

HIDE
Commented by みんと at 2013-06-11 22:23 x
レシピ見せていただきました。
丁寧でとても参考になります。
私も自宅でペペロンチーノを作り食べ続けて10年以上になりますので、よくわかります。
私の場合はニンニクみじん切り、鷹の爪は輪切り、仕上げにイタリアンパセリです。
それと写真もお上手です。とても美味しそうに見えます。
(^^)
私もいろいろトライしてみますね。
ありがとうございました。
Commented by alfa_driver1972 at 2013-06-13 00:08
>みんとさん
感想をいただきありがとうございます。うれしいです。
ペペロンチーノ、本当に奥が深いですよね。
相変わらず作り続けてますが、いまだに味が安定しません(笑)。
塩っぱかったり、にんにくが効かなかったり...

みじん切りもいいですね。僕もひさびさに試してみようかな。
またみんとさんの「コツ」、教えてくださいね。

HIDE


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