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2008年 08月 08日
2度あることは... 富士山登山記2008 - 2
(その1はこちら

一歩歩くたびに悲鳴をあげたくなるような頭痛に苦しめられた去年に比べると、ずっと順調だった今年の富士登山。

そうそう、ひとつ書き忘れたことがありました。
それは星空の美しさ。
じっと目を凝らしてその暗さに目が慣れてくると、天の川らしききらめく小さな星が見えてきます。
さえぎるはずの雲は眼下にしかない不思議な眺め。
思い返すと今年は星空をたのしむ余裕もなんとかあったんだなぁと...

さて、前回の続き。

夜明け間近、いちばん気温の下がる時間ということもあって、まったく動けなくなってしまった友人はしきりに
寒さを口にしています。
これはここにいても状況は明るくならんな... よし、勇気を持って一時撤退。
さっきカップラーメンを食べた山小屋まで戻ろう、そうすれば今の時間ならベットも空いてるし。

頂上でのご来光をめざす登りの渋滞をかき分け、4人で遠く下に見える明かりをめざします。
しかし人ごみにこの岩場... 歩きにくいったらありゃしない。
何度もずりっといきそうになりながら30分くらい歩いたでしょうか、ようやく山小屋に到着。
ご来光組を送り出した小屋は閑散としていて、1時間1,000円でベットでの休憩も可能とのこと。
すこし体調の戻った友人と私とカミサンの3人はここでいったん休憩、初富士山ながら体力バリバリの義弟は
このまま再度頂上にチャレンジ(がんばれ!)。

いったんゆっくり休んで、体調がよかったら僕たちももう一度頂上をめざそう。
こちらも初富士山チャレンジの友人に声をかけ、ひとまずベットにもぐりこみます。

その前に... 時はちょうど夜明けの頃。
せっかくだからここからご来光を眺めることにしましょう。
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漆黒の空に明るさが戻り、青とオレンジのコントラストがだんだん薄くなってきます。
下にはずっと広がる雲海、ここははるか雲の上、不思議。
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午前4時50分、今年のご来光は九合目から。
去年が八合目からだったのですこし上にあがりましたね。
来年こそは? いやいやいや。

【九合目 3,460m】 6:40
下りでちょっと無理したこともあって、じつはあのいやーな頭痛が出てしまっていました。
1時間ちょっととはいえ睡眠がとれたのはとてもラッキー。
すっと軽くなった体と頭、友人に調子を聞くと
「大丈夫、行こう」
すっかり夜も明け真っ青な空が広がる中、もう一度ここから頂上目指してスタートです。
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【九合五勺 3,600m】 7:40
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渋滞もなくなりすっかり登りやすくなった登山道。
一度手が届くところまで来た九合五勺までやってきました。
ここまで来ればあと少し。
一足先に頂上に到着して心配して下りてきてくれた義弟とここで合流。
申し訳ないのですが、彼にはもう一回頂上を味わってもらうことにしましょう(それにしてもすごい体力、感心)。
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頂上はもうすぐそこ、がんばれ。

【頂上 3,700m】 8:35
途中1度の休憩をはさみ、しだいに頂上の鳥居が大きくなってきます。
あと2つ曲がれば、あと10段上がれば... そしていよいよ...
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今年も無事山頂まで来ることができました。
先行した6人もすでに頂上まで来ていて、これで10人全員登頂成功。
すばらしい。

昨年は鳥居をくぐってからの記憶がどこか曖昧なほど疲労困憊、頭痛激痛だったのですが、今年は途中休憩を
とってることもあり、すこしは余裕があります。
昨年出来なかった、頂上の郵便局から手紙(登頂証明書)を出したりしてのんびり頂上を味わいます。
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ただ、本当の頂上3,776m地点は今年も断念... そこまでの体力は残ってませんでした。
これからの長ーい帰り道のことを考えるとどうしてもね。
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それにしても頂上の太陽光線は強烈です。
夜が明けるまであんなに寒かったのに、今はちょっとした灼熱地獄。
日陰がほとんどないので、日焼け対策をしていないとあっという間に真っ黒焦げです。
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そう、これくらいで正解。

【下山開始】 11:30
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いよいよ帰り道。
昨年はまさに「修行」の一言でしたが、今回選択した下山道御殿場ルートは適度に山小屋などの目標が点在していて、
思ったよりは歩きやすいルートでした。
もちろん、体調がまともなのがいちばんの理由だと思いますけどね。
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眼下に広がる景色を眺める余裕もあり。
下のほうに見える赤い土肌の山が宝永山。
あそこをぐるっと回り込んで登ってきた富士宮ルートに出るといよいよゴール。
近そうなんだけどなぁ、これが遠いんだ...

この日は「富士登山駅伝」が行われていました。
このイベント、なんと標高500mちょっとのところから6人で頂上まで上がり、また同じメンバーで下まで降りる
という、超鉄人達の駅伝レース。
標高差3,200m、それを往復してなんと4時間弱で走りきってしまうそうで... 想像できません。
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そんなランナーたちに「がんばれー」の声援をかけながら、いやいや自分たちもがんばらないと下まで着きませんよ...

【七合目 3,000m】 13:40
休憩を挟みながら歩くこと約2時間、登りの渋滞が嘘のようにここ御殿場ルートはすいています。
今年は昨年の経験を生かして2本ストックを持っていったのですが、これが大正解。
特に下りはものすごく楽になった気がします。
これから登る方、伸縮式でスプリングの入ったストックを、ぜひ2本ご用意あれ。
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七合目から下はちょっとしたおたのしみ「大砂走り」。
ふかふかの砂地を(元気があれば)一歩3mくらいの勢いで下りることができます。
どことなくスキーみたいな感覚(耳もツンとするし)。
ウソってくらいあっという間に下れるので、ちょっと得した気分になれます。
ただ砂埃が半端ではないので、靴の上にかぶせるスパッツ、サングラス、マスクは必須。
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これまで下に見えていた雲の高さまで下りてきました。

【宝永山 2,600m】 14:00
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ここまでくればゴールの新五号目まであとすこし... のはずがさすがにしんどくなってきました。
相変わらず足もとがやわらかく、勢いをつけて下りられるのに助けられています。
それにしてもこのルート(御殿場ルート - 宝永山 - 富士宮ルート)は景色の変化に富んでいて、昨年に比べると
ずっと退屈せずに歩けます。
体調がいいから? それとも慣れ? もちろんここまでほとんど寝ずに歩いているわけでしんどくないはずが
ないのですが、それでもなんとかきちんと歩けています。
さすがに鼻歌までは出ませんが、そろそろゴールだねぇと振り返るくらいの余裕がありました。

【富士宮口新五合目 2,400m】 15:40
いやはや、宝永山からが意外と長かった...
まだかまだかと思っていると、やっと行きにも見た風景とぶつかりました。
登頂開始(20時)から約20時間、10名全員怪我もなく無事ゴールに到着。
長かったようなあっという間のような、去年も感じた不思議な気持ち。
夕方から夜、夜から朝、そしてまた夕方... 丸一日24時間、富士山の懐で過ごしたことになります。

登りはじめる前はまたどんな苦行が待っているのかと不安でいっぱいでしたが、2回目の富士登山は違うルート、
違う仲間に恵まれ、また新しい思い出を刻んでくれました。
そして、今回強く思ったのは「女性は強い!」
下り道、バテ気味なヘロヘロ男性陣を傍目に、自分のペースでしっかりと歩く女性陣に少々ビックリ。
「たのしい富士登山でした!」と笑顔で去っていくその姿が、とてもまぶしかったです。

心配していた頭痛も今年はほとんど顔を見せず、登山直後こそふくらはぎのあたりがパンパンでしたが、翌日
からも普通に活動することが出来ました。
まずルートが去年より楽だったこと、2度目ということでなんとなくペース配分がつかめていたこと。
帰り道への覚悟ができていたこと、そして10名という大パーティーがとても楽しかったこと。

惜しむらくは本当の頂上3,776mが制覇できなかったこと? あちゃーまた喉元過ぎればだよ...

by alfa_driver1972 | 2008-08-08 23:47 | 富士山登山 | Comments(12)
2008年 08月 07日
2度あることは... 富士山登山記2008 - 1
「思い出は美化される」
「喉元過ぎれば熱さを忘れる」

人は愚かな生き物なのか、学習能力というものはないのか。
去年あれだけ苦しい思いをしたというのに、まさかまたチャレンジすることになろうとは...

「富士山に 登らない馬鹿 二度登る馬鹿」

やっと普通の日本人になれたかと思いきや、また逆戻りです。
いや、前進であると思いたいけど...

と、ウダウダな書き出しで始まりましたが、今年も行ってきました富士登山。
去年の登山記を読んでくれた義弟(山口県在住)が「ぜひ自分も登ってみたいッス」。
「お、おう、まかせとけ」、と安請け合いしたのが間違いの元。
なんでも今年は去年の2倍の人が富士山を訪れているとか。
ルートはどうする? 駐車場は大丈夫? そもそもオレ大丈夫?
知っているだけに不安になるというか、考えると辛さがよみがえってくるというか...
ここは頼りになる友人を巻き添えにしようと、去年もご一緒したプリンPaPaさんに助けを求めます。
そうして、なんだかんだで集まったのは、男性5名女性5名、計10名の大パーティー。
経験者7名、初体験3名、なかなか心強いではありませんか。

8月2日土曜日、駐車場渋滞を避けるために早めの出発、午後6時には富士宮口新五合目(2,400m)に集合。
天候は晴れ、下界の暑さはどこへやらの肌寒いくらいの夕暮れ。
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すでに下山して来た人、これから登る人、展望台での表情は好対照。
ちょっと動くだけで息が上がり、空気の薄さを感じます。

1時間ほど準備をしながらゆっくり体を慣らし、午後8時、いよいよ登頂開始。
去年の河口湖ルート(登り7.5km)よりは短めの富士宮ルート(登り5.0km)、去年より4時間早いスタート。
前回は間に合わなかった「頂上ご来光」を見越してのスケジュール、さて今年はどうなりますか...

【六合目 2,500m】 20:30
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標高に体を慣らすためにゆーっくり歩くこと30分、6合目に到着。
河口湖ルートはなだらかな登山道でしたが、こちらはしょっぱなからけっこうな傾斜。
そう、歩く距離が短いということは斜度はキツイということなんですね...
ただ、足腰にはたしかにこたえますが一歩で標高を稼げる分モチベーション的にはラクな感じもします。
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しっかり焼印を押してもらって、さて出発。

【新七合目 2,780m】 21:45
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約1時間で7合目。
富士宮ルートは河口湖ルートより山小屋の数は少ないものの、ある程度規則的に建てられているので目標と
するにはかえって好都合。
岩がごろごろで傾斜もきついのですが、まだ比較的標高が低いこともあってそんなに疲れも感じません。
ただ油断は禁物... 去年の「高山病」の辛さだけは二度とゴメンと、意識的に深い呼吸を心がけます。
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暗くてなんのこっちゃな写真ですが、光の列が登山者の列。
このあたりから「人渋滞」がちょっとひどくなってきます。
これもかえってペースを落とせると思えば好都合だったのかもしれません。

【元祖七合目 3,010m】 22:45
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また七合目かいとがっくりきます... そう、富士山はやたら「元祖」とか「新」とかが多いのです。
ついに標高も3,000mを越え、すこし長めの休憩をとります。
頭痛が出てくるならこの辺からかなと覚悟していたのですが、うっすらと痛むもののまだまだ軽微。
酸素缶を吸って大きく深呼吸... よし大丈夫。

それにしても登山道は国際色豊か。
英語、韓国語、中国語、ブラジル語にスペイン語(たぶん)。
びっくりするくらい軽装の女の子とか、やたら明るい団体さんなどなど。
あと国籍に関係なく若い女性がとっても多い。
富士山登山、ブーム到来中?

【八合目 3,250m】 0:00
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こうやって書き出してみると、ちょうど1時間で1合登ってますね。
ここまで早すぎず遅すぎずのなかなかいいペース、各人自分の調子に合わせて特に無理もない感じ。
足場の悪さもそんなには気になりません。
日付も変わって冷え込みが強くなってきました。
長袖Tシャツ+αの軽装にさらにもう一枚厚手のジャケットを羽織ります。

【九合目 3,460m】 1:25
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ここまで思いのほかいい調子。
空気の薄さゆえ、数歩歩いては深呼吸のスローペースではありますが、頭痛もほぼなく、足もまだまだ平気。
河口湖ルートよりもたしかに楽かもしれないなぁ... 2度目の余裕もあるか?
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てなわけでしっかりお腹も空くのです。
こんなにおいしいカップラーメン食べたことないかも... あたたかさが心底染みます。

この先、九合五勺の最後の山小屋を越えるといよいよ頂上。
ご来光渋滞はますますひどくなっていて、1歩進むのに時間がかかる状態ではありますが、夜明けまでは
まだ3時間近く残っています。
これは頂上ご来光がいよいよ見えてきたか? 
はやる気持ちを抑えて、いや、そもそもこれ以上ペースアップなんて体力的に無理なのですが、残り300m
いざスタートです。

一段と狭くなる登山道、渋滞に巻き込まれながらスローペースで歩を進めていきます。
1時間弱歩いたでしょうか、上を見上げると白い壁が見えてきました。
あれが九合五勺だな... おーいあと少しだよー、と一緒に登ってきた友人に声をかけようと後ろを振り返ると...

「ゴメン、ちょっと気分が悪い」

急にがっくりと崩れてしまいました。
ルートからすこし外れたところに避難し、リュックを降ろして休みます。
おそらく気温は軽く一桁、動きを止めると夜風の冷たさがもろに体を直撃します。
そのまましばらく様子を見ますが、吐き気と寒気が収まらない様子。
その場にいたのは4名、自分を含めた残り3名は比較的元気、このまま頂上まで行くことも十分可能。
しかし友人をここに置いていくわけにはもちろんいかないし...

ここまで順調だった富士山登山に急激に暗雲が... さていったいどうなる?
と、安っぽいドラマのようですが続きはまた次回。

(その2はこちら

by alfa_driver1972 | 2008-08-07 00:58 | 富士山登山 | Comments(10)
2007年 08月 09日
3776mの頂へ - Memorandum
さて、ここまでの記事を見てウズウズしているあなた(いるのか?)に送る、富士山登山のための備忘録。
いつかの自分のためでもありますが。

備忘録など ->>

by alfa_driver1972 | 2007-08-09 13:00 | 富士山登山 | Comments(10)
2007年 08月 07日
3776mの頂へ - 富士山登山その2
「富士山登山その1」はこちら
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【本八合目(3400m) - 頂上】
ご来光のパワーをもらって体も軽く... はならず。
登りで一番しんどかったのがこの最後の区間でした。
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このあたりから頭上をさえぎるものがなくなり、遠く上の方には九合目と頂上にある二つの鳥居が見えてきます。
よしあと少し、と最後の気力が出てきそうなものですが、どうにも体調が悪い。
頭痛が本格的になり、耳が遠くなったり、冷や汗が出て立ちくらみしたり。
これが俗に言う「高山病」か... 標高3500mをなめてはいけません。
さらに渋滞がひどくなりなかなか前に進まないのですが、そのおかげで休憩しながら登れることがかえって
幸いしています。
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意識朦朧としながら、九合目の鳥居を通過。
2人並ぶのがやっとなほどの狭くて険しい道、頂上までずっと人の列が続きます。
一歩進んでは止まりの繰り返し、頭上に見える頂上の鳥居が近づきそうで近づかない。
苦しい時間が過ぎます。

【頂上(3776m)】7:50
半分泣きそうになりながら、けど一歩一歩ゴールは確実に近づいてきます。
あと5回ジグザグを越えたらゴール、4回、3回、2回... 次を曲がれば...
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登頂開始から8時間、狛犬に出迎えられてついに頂上にたどり着きました。
一人の落伍者もなく、怪我もなく、みんな揃って3776mの頂へ。
ホント、よくがんばりましたね。

ただそのころの自分はというと... 残念なことにバンザイと喜ぶ余裕はなく、まだ下りがあると考えると安堵感を
覚えることもなく。
それもこれも、このズキズキと痛む頭のせい... 水分も食料も口にする気にならず、今となってみれば
せっかくの頂上なのになにやってんだ自分。
みなさんが散策している間、荷物番をしながら本日初のダウンを喫してしまいました。
(せめて頂上の郵便局には行きたかった... 代理購入してくれたプリンPaPaさんに深く感謝!)

それにしてもすごい人の数です。
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各山小屋の呼び込みの声、なかにはやたらとヘビーなロックミュージックを響かせている店も。
ずらりと並んだ自動販売機に、土に返ろうとしているごみの山。
これが富士山の現実かと悲観的に考えてしまうのは、この体調のせいもあるのでしょうが...
国際的観光地富士山の頂は想像以上に栄えたエリアでした。

とはいえ、下山道近くから見える火口の姿は圧巻。
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遠く向こうには富士山測候所が見えます。
そしてもう一つ見ものだったのが雲の表情。
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モクモクと湧き上がり、山肌にぶつかって霧散する様子はまるで生き物のよう。
寝転がった視線の先で、早回しのVTRを見ているような不思議な光景でした。
(実は家に帰って写真を見て「おーこんなにすごかったのか」と驚いてみたり... いかに現地で余裕がなかった
のかってことですな)

空が青い、とっても青い、空が近い、太陽が近い。
酸欠気味のボーっとした意識の中で、まるで白昼夢を見ているような非現実的な時間を体験した気がします。

【頂上出発】10:30
降りなければ帰れません。
そうわかってはいても、途中で歩みを止めてしまいたくなるような単調な下り道がつづきます。
やわらかい砂利道がひざと足首を痛みつけ、着地の衝撃が容赦なく頭に響きます。
イタイイタイイタイ... ツライ... けど歩を進めなくちゃ帰れない...
永遠に続くのではないかと思うようなジグザグ道、思考回路を停止して足元だけを見つめます。
植物のいっさいない赤い土肌、ここが火星だといわれてもあまりおどろきません、きっと...
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【七合目(2700m)】12:30
まじめな話、七合目なんてどこにもないんじゃないかと思えるくらい歩き続けた気がします。
さすがにみんなの顔も疲労の色が濃く... 登りより下りがキツイというのは事実のようです。

ここで体調に変化が。
頂上から下り続けて、はじめて喉の渇きを覚えました。
プリンPaPaさんからジュースを分けていただき(なにからなにまでスイマセン)、一気に飲み干します。
気がつくと頭の痛みがずいぶん楽になっています。
頂上から下ること1000m、ようやく「高山病」を脱したようです。
いやはや、苦しかったなあ...

【七合目 - 五合目(2305m)】
ゴールまで残り3km、やっと人並みの思考能力が回復してきました。
前半のスローペースのおかげで足腰を温存できていたのか、比較的順調な足取り。
このあたりからは山肌に植物の姿が見えてきて、徐々にですが歩きやすい道になってきます。

やっと写真を撮る余裕も出てきました。
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六合目からは登りのときと同じ道。
半日前はここを軽口を叩きながら通ったんだなぁ、かれこれ12時間以上歩きっぱなしか...
ほんの少し前のことのはずなのに、ずっと昔の出来事だったような感覚に襲われます。

【五合目到着】14:30
頂上から4時間、登頂開始から14時間30分、無事下山しました。
最初にしたこと... 一番近くにあった売店に駆け寄ってソフトクリームを購入。
甘さと冷たさが全身に染み渡ります... きっとこれ以上おいしいデザートにはなかなかめぐり合えない気がします。
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五合目から望む富士山。
見ると登るとでは大違いの霊峰富士。

いい経験ができました、間違いなく人生で何本かに入る思い出になりました。
その経験を共有できたすばらしい仲間に、まずは感謝。
おつかれさまでした、ありがとうございました!
みなさんにとってもいい思い出になったことを祈ります。

そして、今回の影の主役にも感謝。
おかげで最高の天気に恵まれたよ。
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一緒に登れてよかったね。


...そう、知ってます? 思い出ってツラいことを忘れてかぎりなく美化されていくんですよね。

「富士山に 登らない馬鹿 二度登る馬鹿」

「二度登る」に反応している自分はいったいなんなんでしょう。
あんなにシンドかったのに、ねえ...

by alfa_driver1972 | 2007-08-07 21:30 | 富士山登山 | Comments(16)
2007年 08月 06日
3776mの頂へ - 富士山登山その1
「いつかは」という気持ちはいつも持っていたのです。
日本人として生まれてきたからには一度くらいは。
だけどそれを実現するには、けっこうな勇気と思い切りが必要だったりします。

遠くからその美しい姿を見ることはあっても、その頂を目指すとなると話はまったく別。
登山の経験なんてないし、体力だって人並み以下だし。
そもそも、よく考えてみるまでもなく「日本一」ですよ、3776mですよ。
素人がそんな大それた場所に行けるものなの?
怖気つく心を言い訳で包みつつ、「いつかは」は「いつまでたっても」になりかけていたのでした。

そんなときでした、3776m経験者のプリンPaPaさんにお誘いを受けたのは。
あえて詳細は聞かず、いつもならネットで調べまくる用意周到さも姿を見せず。
とにかく「考えすぎない」、というかなにも考えずにOKの返事をしてしまっていたのでした。
いい機会だ、やってやろうじゃないかと、妙に男らしい決断力... 大丈夫なの?

スポーツショップに設置された「富士山に登ろう!」コーナーで必要最低限の持ち物をしっかり準備して、
あとは好天の週末を待つのみ。
金曜日夜出発の予定を一日延期し、土曜日の夜、ついに決行のサイン。
さいは投げられました。
たっぷりの不安で膨らんだリュックサックを車に詰め込み、いざ出発です。

22時、河口湖近くのスバルライン入り口に集合。
今回のパーティーは女性2人(もちカミサンも)を含む計6名、プリンPaPa隊長以外はみんな富士登山初体験。
なんだかんだいいながらみなさん格好がビシッと決まっていて、しっかり事前準備されている様子。
さすが「大人の遠足」です。

ここで簡単に富士登山基礎知識。
富士山への入り口は「富士宮口」、「河口湖口」、「須走口」、「御殿場口」の4つ。
今回は「河口湖口」からのアプローチ、2305mの五合目までは車でスバルラインを駆け上がります。
そこから3776mを目指すには標高にして1500m弱、距離にして7.5kmを歩く計算。
なんだ大したことないじゃないかと思うか、そんなにあるのかと思うか。
その答えは登ってみるとおのずとわかることになるのですが...

さてと... 登る前からすっかり文章が長くなってしまいました(悪い癖です)。
ここからはシンプルに(はならないだろうけど)、レポート形式でお伝えします。


【五合目手前】22:30
7~8月は富士登山のベストシーズン。
某アド街で取り上げられた影響もあったかなかったか、週末の駐車場は大混雑。
とはいえこれは織り込み済みのこと、五合目手前にある無料駐車場に車を止め、登山靴を履き、リュックを
背負い、まずは5合目までの1.5kmをてくてく歩きます。

【五合目(2305m)】23:15
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ほどなく五合目に到着。
すでに2300mの高地、ぐっと気温も下がっています(15℃くらい?)。
売店で「金剛杖」(お遍路さんが持っているアレです)を買い込んで、のんびりと薄い空気に体を慣らします。
頂上での「ご来光」の登山開始時間は過ぎているものの、まわりには同じような人たちがたくさん。

【五合目出発】0:00
日付の変わる午前0時、いよいよアタック開始。
ここから六合目までは道幅の広いゆるやかな道、霞の向こうに見える夜景を眺めながらのんびりハイキング気分。
まだまだ鼻歌交じり。

【六合目(2400m)】0:30
感覚的にはあっという間に六合目到着、まだまだ軽口をたたく余裕あり。
軽く休憩を済ませ出発。
ここからすこし道幅が狭くなりますが登りやすい道が続きます。

【七合目(2700m)】1:30
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すこし歩き疲れてきたなぁと思ったころに七合目到着、初の「山小屋」での休憩(軒先だけどね)。
金剛杖に1個目の「焼印」を押してもらいます。
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足腰の疲労以上に、動悸息切れがキツイ。
しっかり空気が薄くなっているんだなぁと実感。
微妙に頭が痛くなってきているのがイヤだなぁ...

【七合目 - 八合目】
七合目からは登山初心者にとっては十分本格的な岩場がはじまります。
岩に張られたチェーンをつかみ、杖とヘッドライトを頼りにえっちらおっちら。
足腰にはこたえますが、一歩で標高を稼ぐことができるのでモチベーション的にはかえって楽。
この区間は山小屋も多く点在していて、休憩がとりやすいのも助かります。
とはいえ、調子に乗るとすぐ息が上がって苦しい苦しい... 口数もどんどん少なくなってきます。

【八合目(3100m)】3:30
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ついに標高3000mを越え、ぐっと気温も下がってきます。
七合目から2時間、もう800mも登ってきたんだと思う以上に、あと600mも登らなくちゃいけないのかとガックリ。
このころになると、あと残り何メートルとかここが何合目であるのかとか、そういう情報にやたら敏感になります。
そんなへばり切った中、唯一のお楽しみは満天の星空。
白くなってきた息を整えながらボーっと頭上を眺めます。

【八合目 - 九合目】
さらに道幅は狭くなり、人の渋滞がはじまります。
道ばたにはダウンしてしまった人が倒れてたりして、無理もないなぁというか、自分がいつそうなっても
おかしくないなぁと。
WaTのかたっぽの歌が頭をグルグル回ります(♪わかーるわかるよキミの...)
いやはやキツイ、ただただシンドイ、頭も痛いし...

だいぶヘロヘロになってきたころ、だんだんと東の空が白み始めてきました。
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白み始めるというのは本当に空が白くなるんだなと感心しつつ、「ご来光」を眺めるスポットを見極めます。
八合目の次の本八合目(ややこしい)あたりで腰を下ろして、カメラを構えます。
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夜明け間近、みずからの稜線と眼下に山中湖が姿を見せてきました。
体温が下がって、吹きつける風がさらに冷たく感じられるころ、まだかな、そろそろかな...
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午前4時50分。
ピンと張り詰めた冷たい空気の中、標高3300mの夜が明けます。
これまで見たどの夜明けとも違う、ここだけで見られる、登ってきたものだけが見られる太陽の姿。
感動的でした。

さあ、ご来光のパワーをもらって、いざ頂上へ!
しかしこのころからさきほどの頭痛が本格的に痛み始め... 無事登頂できるのか?

その2につづく...

by alfa_driver1972 | 2007-08-06 22:30 | 富士山登山 | Comments(10)